モバイル広告には、まだまだビジネスチャンスがある! アプリケーション提供のビジネスモデルとして、最近国内でも熱く語られるのが広告モデルだ。最近ではGoogleによるAdMob買収など、モバイル広告に関する動きも注目を集めるようになってきた。とはいえ、Web上の広告ネットワークと違い、モバイルの広告ネットワークはまだまだこれから。決してGoogleの一人勝ちではない。モバイル広告に関する現状と、今後の展望/戦略を知る。
アプリ開発者は広告で食べていける?
のっけからネガティブな話で恐縮だが、既存のモデルを前提とした広告収入のみで十分な収益を得ることは難しいことを、定量的な数値をもとにバッサリと切っておきたいと思う。
まず、広告市場全体で見てみよう。GDP比で見ると、日本では1.3%前後(電通『日本の広告費』)、米国では2.0%前後(U.S. Annual Advertising Spending Since 1919)で安定して推移していることがわかる。
つまり、若干乱暴だが、単純化すれば、個人から期待できる広告売上はその人の消費に費やす金額の1~2%ということといえる。
さらにミクロに見ていくと、DeNAのIR資料によれば、2009年第二四半期のモバゲータウンの広告売上は約18憶円であり、月あたり約6憶円、会員数は約1500万人であるため、一人あたりの広告売上は月間40円となる。
次にモバイル広告という観点で見ると、モバイル広告費の日本市場は960憶円、ネット接続可能な携帯電話契約数は約9000万台であるから、1台あたりの広告費は年間1000円、月間80円強となる。
気を付けなければならないのは、この数字が「1人あたり」ということである。多くのユーザーは数十のアプリケーションやWebサイトを使い分けることが一般的であるため、1つあたりのアプリケーションで期待できる広告収入は月間のアクティブユーザーあたり、数円規模となる。
もちろん、アクティブユーザーを数十万、数百万と増やせれば、悪い話ではない。しかし、それだけのユーザー規模を実現することは並大抵のことではなく、特に立ち上げ期に広告ビジネスからの収入に依存した事業計画は成立困難なことがわかるのではないだろうか。
この原稿を書いている途中でmixiアプリモバイル版広告の開発者への支払い単価が公開されたので反映しておく。これを見ると、1PVあたり0.01円から0.03円となる。ランキングによる可変的数値となるため、たとえば、1憶PVあたり100万円から300万円の収益となる。
こちらも1億PV獲得の難易度をどう見るかであるが、相当の勝ち組にならない限り、十分な収益化は難しいことがわかる。ちなみにmixiのこの条件は業界内では「破格の」好条件といわれていることを付記しておく。
現在、米国では1PVあたり0.002~0.004ドルという広告収益が喧伝されているが、この違いは過渡的な状況の結果であり、本質的な市場や商品の違いを反映したものではないと思われる。
ひとつは、Webアクセス可能な携帯電話を国民のほとんどが保有している日本に比べ、米国は未だに比較的可処分所得が高い層に普及が留まっていることであり、もうひとつは、ソーシャルゲームなどの1人あたりのPVが爆発的に増加するアプリケーションの普及が限定的で、PVあたりの価値の希薄化する前の段階であるということである。
後段でも取り上げるが、世界最大を標榜する広告プラットフォームAdMobの月間インプレッション数は日本の一サービスに過ぎないモバゲータウンの1/3以下に過ぎない。リーチしている人口比で考えれば、日本の携帯電話ユーザー1人あたりのPVがいかに多いか、裏を返せば、PVあたりの価値が希薄化しているか、実感していただけるであろう。