特集 ―スマートフォンアプリ 2年後を目指して走れ~iPhone、Androidアプリ開発者が絶対知っておくべきこと―

iPhoneアプリの登録本数が10万本を超えた。端末や販売地域的にはその数分の1と思われるAndroid Marketに登録のアプリ本数も2万本を目の前にしている。先行するiPhoneに対して、まったく異なるスタンダードとして登場するAndroidも、今後、世界でブレイクする可能性が高いと目されている。低価格端末の投入やカスタムUIの採用で見違えるほど使いやすく変身した端末が登場しつつあるからだ。アメリカでは近々携帯の4分の1程度がスマートフォンになるという見方もある。つまり、iPhoneですでに見えており、ここから確実にブレイクすると目されているのがスマートフォンアプリの世界なのだ。iPhoneで実際にアプリを提供しているお三方に「絶対に知っておくべきこと」を聞いた。

森 琢磨
1978年生まれ。映像システムなどの受託する(株)エスグラを創業。'09年6月に取締役を退任し、現在フリーで受託開発やiPhoneのアプリケーション制作を手掛ける。代表作にTwitterクライアント「NatsuLion for iPhone」、深津氏と共同制作したミニチュアエフェクトアプリ「TiltShift Generator」。
深津貴之
1979年生まれ。Flashを中心に手掛けるフリーランスのデザインプログラマーのかたわら、「ToyCamera」「QuadCamera」などのカメラ系アプリケーションがiPhoneで大ブレイク。'09年10月に(株)Art&Mobileを起業した。
廣瀬則仁
1972年生まれ。エルゴソフトで「egbridge」「egword」を生み出したことはあまりに有名。'08年に、Macintosh、iPhoneのソフトウェアの開発、販売を行なう(株)物書堂を設立。「大辞林」「模範六法」などを販売する。

知っておくべきこと1

個人や小さな会社でも本当にやれるということをまず認識せよ

これからモバイル向けのアプリケーション開発を目指そうという人に向けて、ご経験や、将来の展望をおうかがいしたいと思います。まずは、現状をお聞かせいただけますか?

廣瀬

いや、いい時代になりました。

一同

(笑)

廣瀬

本当に、僕のような小さな会社や、個人でやっていけるというのが、ほんのちょっと前までは考えられなかった。そもそも、物を売るということはハードルが高く、さらには大きなリスクをともないますから。

深津

個人で在庫抱えたら……。

廣瀬

リスクがないわけではないですが、それが小さい。元手もアップルにちょっと払えばいい(笑)。

やっぱりApp Storeっていう存在/仕組みが大きいですよね。

深津

自分たちで仕事をしていると、どうしても受託の仕事がメインになってしまいます。でも、iPhoneみたいな仕組みがあると、リスクを負う在庫や決済の部分を全部すっとばして、しかも世界中に発信できる。こういう環境は、ひとりでガンガン作れる人にはものすごいチャンスなんだと思います。

廣瀬

その周辺でブログやTwitterがあって、情報を発信してくれるというのも大変やりやすい。

深津

そういう個人メディアが大きいですよね。昔だったら何百万円もかけて広告を出さなければならなかったのに、今なら個人のページでも百万とかのページビューがありますし。いいものは、そういうところで取り上げてもらえるので、コストをかけずに物作りが可能。こうした仕組みがなければ、たとえば100円でアプリを売るなんてことは不可能だと思います。

廣瀬

スケールメリットだけじゃなくて、たとえば、六法のソフトなんて、年間1000本ぐらいしか売れないんですよ。でも、売上が2000円だとして、製作期間が1ヵ月なら200万円になって十分ペイできるし、実際にApp Storeでお客さんが見つけて、確実に毎年買ってくれる。これが、CDマスタリングしたりすると、それだけで10万、20万、30万円という世界になって、とてもプロダクツとして世には出せない。