スマートフォンのUIに対するユーザーの意識は、iPhoneの登場で劇的に変化した。
ケータイジャーナリスト 石川温氏が、各プラットフォームのUIを改めて見直し、UIの趨勢を見極める。
UIの現状――アプリレベルでUIの統一化に踏み込むiPhoneそうではないWindows Mobile、Android
スマートフォン市場が緩やかに拡大していくなか、大きな変化が求められるのがユーザーインターフェースだ。
従来のケータイは4方向キーでカーソルを動かして、決定キーを押下するというユーザーインターフェースが主流だった。しかし、iPhoneの登場により状況は一変。タッチパネルにより、すべてを指で直感的に操作してアプリケーションを動かしていくという流れに変わった。
ここで求められるのが手のひらに収まり「電話」としてもきっちりと使える操作性だ。
たとえばWindows Mobileも従来からタッチパネルを採用しており、iPhoneと比べればずっと先端を走っていたはずだった。しかし、実際の操作性といえば、タッチペンを必要とし、アプリケーションの窓を消すにも右上隅にある×マークをペン先で正確につつく、という作業が必要になる。左手で本体を持ち、右手でペンを操るというように「両手」での操作が前提となっている。
左手でつり革をもち、右手でケータイを操作する、といった通勤電車のなかで、両手の操作を必要とするWindows Mobileは使いにくくて仕方がない。

- Windows Mobile 6.5で新しくなったToday画面。
そんななか、10月6日に登場したWindows Mobile 6.5は、これまでの「パソコンのWindowsの操作性をケータイで」という操作性を改め、ケータイに特化したユーザーインターフェースに切り替えた。片手でも操作できるようにと、メニュー画面のテキストなども大きくなっており、押しやすいようになっている。
しかし、実際に操作してみると、表面的にはiPhoneを意識した操作体系になっているものの、階層が深くなっていくと、従来のようなタッチペンを前提とした操作体系が出てきてしまう。壁紙を変更するにも、プレビュー画面が用意されていないといった不親切さもあり、必ずしも「使い勝手がいい」というユーザーインターフェースには仕上がっていない。
一方でiPhone向けAppStoreで提供されているアプリはまもなく世界で10万本に迫ろうとしている。それらのほとんどが、似通ったユーザーインターフェースになっているため、ユーザーにとってはほとんど操作に迷わないで使いこなせる傾向が強い。
これは、アップルがユーザーインターフェースに関して、きっちりとしたガイドラインを定めており、さらに開発キットのほうでも操作性の部分をサポートしているという点が大きい。画面が変わる際のアニメーションなどがあらかじめ備わっており、誰が作ってもそれなりに「アップルらしい」ユーザーインターフェースのアプリができあがるというのだ。
一方のAndroidに関しては、ユーザーインターフェースに関してのガイドラインはほとんどなく、操作性にはアプリ開発者にゆだねられている。
そのため、iPhoneアプリは誰が作っても、それなりにまともなものができるのに対し、Androidは開発者の力量に問われるところが大きく、努力をすれば使いやすいものができるし、配慮を怠れば操作性のいまいちのアプリができあがってしまう。
あるアプリ関係者は「Androidではなめらかに画面がスクロールすると言った動きは、自分で作り込まなくていけないので難しい。開発者の実力がはっきりと見えてきてしまう」と本音を漏らす。
