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特集 ―iPhone × Android頂上対決―

インフラとスマートアプリケーション

「そのときにアプリケーションはどうなる?」――遠藤
「波乱要因はディスクかも」――丸山
「スピードを活かせるのが、このiPhoneのサイズ」――林

遠藤

今回のコンテストでは、3.9Gや4Gというインフラによって、もう1ステージ変わるだろうというのが1つのポイントになっています。コンピュータというのは、僕のイメージだと、I/Oというか周辺機器というか……出入り口とインフラによってしか変わらないんですよ。あとはせいぜい処理速度が変わるだけ。

たとえば、Lotus 1-2-3やビジカルクとがExcelになったからといって、やれることは本質的には変わらない。しかし、スキャナが付いているか否かではやれること劇的に変わる。インフラも、いままでの電話回線からインターネットに接続したか否かで違っているわけですね。

丸山

今はクラウド、サービスでしょうね。

遠藤

クラウドという見方をせよと。

丸山

そうですね。クラウドとモバイル。モバイルは、クラウド・デバイス。

遠藤

どうなるんですか?

丸山

うーん、スピードはねぇ。100Mbpsのスピードが出たとしても、個人が使う分には10Mbpsのスピードとあまり変わりがないと思いますよ。

むしろクラウドに対する技術がどう搭載されるかとか、どういうアプリサービスがでてくるかとか、そういうことでしょう。日本では、ネットワークスピードが、主要な問題ではない。あれが100倍になったからと言って、みんながリアルタイムで映画を観れば別ですけれども。

遠藤

好きな時間に映画を観るっていう考え方もありますよね?

丸山

それはあると思う。ただ、今のサーバ中心のスタイルでは、帯域の無駄だと思いますけれどもね。

遠藤

ギルダー※によれば、帯域を無駄に使う人が商売は成功すると。まったくあの通りになりましたよね。でも、本質的には変わらないと? 林さんはどうなんですか?

※ジョージ・ギルダー:ギルダーの法則=通信網の帯域幅は6カ月で2倍になる――で有名。「帯域を無駄に使う人が商売に成功する」というのは、「テレコズム―ブロードバンド革命のビジョン」 ISBN4797318392に記されていた逸話。

僕もそこらへんは同じですね。もう少し大きな液晶を持ったモノが出来たりとか、そうなれば別ですが。

遠藤

タブレットとか、そういうものが出てくると話が違う?

帯域とかスピードを活かせるのが、このiPhoneのサイズだと思います。多分、現時点でこのサイズもフルに活かせていないだけで、このままだって全然きれいな大リーグ中継を、観ようと思ったら観られるでしょう。キャリアの回線に負担をかけないために帯域を落としているだけで。

遠藤

逆に言うと、行けば行くってこと? 速くなれば。

太くなれば。

遠藤

そのときにアプリケーションはどうなるのですかね? みんなが大リーグの中継を観ていても仕方がないわけで。

丸山

たとえば昔、ADSLから光に変わったときに、10倍近く変わったんだけど、アプリケーションが劇的に変わったかというと、結構連続している。ISDNからADSLの変化のほうがむしろ画期的だったけれども。そこから100Mbpsにアップしてもそんなに差がないですよ。使い勝手はよくなったけれども。

遠藤

僕はネットショッピングやオークションを、あの変化でやるようになったんだけれども。いずれにせよ、要するに、あるステージにもう上がっているから、これからは変わらないんじゃないかと?

丸山

分からないけど、僕はそう思っています。

遠藤

Windows 7のリモートメディアストリーミングってあるじゃないですか。自宅PCの中のものを、Windows Liveを使ってストリーミングしようという話。でも自宅のPCの中身を観ることって、あんまりない。そんなニーズはあるのかと思います。

けれどもマイクロソフトがWindows Liveで言おうとしているのは、「自宅PCの立場ってどうなるの?」と。マイクロソフトはそのへんのことをチクッと言っているんだと思ったんですよ。

丸山

ギルダーの法則に関係することを言うと、実はネットワークの進化が半導体の進化を追い越すわけですよね。でもそこには波乱要因があって、それはディスク。ディスクがもっと劇的に安くなっているんですよ。ネットワークよりもディスクのほうが安くて、1TBが1万円ですよね?

遠藤

でもペースは遅れて久しいですよね?

丸山

いやいや、ディスクはムーアの法則に従っていなくて、劇的に進化した。ビット単価の低下っていうのは、「半導体」と「ネットワーク」と「ディスク」を比べると、実はディスクが一番劇的に安くなってきた。

そして、ネットワークで一番帯域を食うのは、リアルタイムで映像を見ること。でも、一人あたりで見れば、2Mbpsとか4Mbps、6Mbpsとか、ハイビジョンでも6Mbpsで間に合うんです。でも、みんなが使うとサーバーの負荷とネットワークの帯域の問題があって、自分のところにデータを置いたほうが安い。

映像はだから、ローカルに近いところに配信するモデル、テレビから直接ディスクに持たせたほうが安いという解もあり得る。テレビのBroadcastというのは、ネットワークとしてみると、超強力な技術なんです。ネットがいかに早くなっても、サーバー中心だと、映像の配信では、Broadcastには勝てない。それと、ディスクの安さが、実はローカリティの根拠になっているんですよ。

遠藤

クラウド急進派と思われる丸山先生とは思えない発言なんですけれども(笑)

丸山

なんでもクラウドに置くと、ネット料金がすごく高くなる。だから、ディスクは再評価されてくる。

遠藤

マイクロソフトが、ローカルのPCに対してそう言っているのは、ちょっと発見だった。つまり、クラウドというパラダイムにみんな頭が行っちゃっていて、ビジネス誌もそうなんだけど、そういうものでもない。

丸山

マイクロソフトはだから、Windows Liveとか、P2P的なローカルシェアリングも本当は視野に入れていた。今は、Liveの方はぱっとしないけど。

遠藤

ないしは、P2Pだったものが、クラウドとローカルの関係に置き換えられるとか。クラウドというと、使う側にとっての“クラウド”っていうイメージがあるんだけど、実はその向こうにある自分のリソースとクラウドの関係とかね。

丸山

インターネット・クラウドって、僕は、基本的に“サーバーセントリックのP2P”って言っているんだけども。実はサーバーが個人と個人を繋いでいる。論理的には、個人が直接見えるんだけど、実際には真ん中のサーバーが個人をつないでいる。Google Waveなんかはその典型で、中で個人が発したメッセージを、サーバが加工までして送っちゃう。個人と個人のやりとりが増えれば増えるほど、クラウドはでかくなる。

遠藤

Windows 7の話をするときには、「みんなクラウドって言っているんだけど実はさあ」みたいな、そういうカウンターっぽい感じもあるんですが。実は、当然の流れであると。

丸山

実際ディスクが高ければ、みんなクラウドに行ったと思うんだけど。自宅に映画を何十本も持っているとかね。